冬山以外向けのアクティブインサレーション Marmot Alpha 60 Jacket

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ちょうどよい行動防寒着が冬山以外にも欲しかった

アクティブインサレーションというと、どちらかというと冬山向けを指すことが多いようです。動くと汗をかくけれど、冷たい風で薄着はできず、止まると凍える。そんな時にずっと来て行動していられる汗抜けが良い保温着がアクティブインサレーションとして登場していました。ただのシェルと違うのは、ちゃんと空気を溜める層があること。

冬山向けなので、ちょっと涼しいぐらいの春や秋、ましては夏山なんてとても来ていられない暖かさです。この時期だとベースレイヤ一枚で行動することもあり、そもそも保温着を必要としないことも多かったです。ただ、アクティブインサーションの快適さを知ると、他のシーズンも似たように着っぱなしで行動できる薄手のアクティブインサーションが無いかなと思うようになりました。

今まで、薄手のフリースやウィンドシェルを組み合わせていましたが、フリースは通気性が良いと言いつつ、肌の周りに暖かい層をしっかり作ってくれるので、ちょっと動くとすぐに熱気がこもります。ウィンドシェルは風を通さないので、レインウェアほどではないですが熱がこもりやすい。

結局、動いてちょっと体から熱が出るとすぐに暑くて脱いでしまう状態でした。まさに、冬山と同じ。ただ、冬山と違うのは脱いでも面倒なだけで特に問題ないこと。寒さに凍えることは無いですし。

ただ、こんな時も着ていても静止状態であれば特に暑くなく、動いて熱が出ても放熱して快適な状態を保ってくれる。そうするといろいろ脱ぎ着が楽になりそうだなぁという魂胆です。

似たような感じで手持ちの薄手のインサーレションとして、Arc’teryx ATOM SLがあります。かなり薄手で、中綿も体部分にしか入っていないものですが、半そでの上に羽織るとふわっと暖かい。ただ保温材は薄手の40g/㎡で体部分だけ、という性能上、止まった時の保温性に少し心もとないという感じでした。なんといいますが、保温量が少ない代わりになるべく熱が出ていかないようにしている感じ。

オーバーした熱気はどんどん出てほしいのですが、保温量がある程度あって、ふんわりと暖かさは維持できている感じのウェアが欲しい。動かなければそれなりに保温してほしい。なんというわがままで難しいリクエストです。

POLARTEC Alpha Direct

そんな時にちょっと見つけたのが、薄手のポーラテック アルファ ダイレクトです。通気性が2倍で、速乾性が1.5倍といわれたポーラテック アルファの裏地を除いたもの。しっかりと汗を吸い上げ、またスカスカな空気膜の空間で適度に対流が起こって熱もこもりにくそうな設計。

それを生かして、表地裏地ともに無くしたようなトンデモない製品も出ています。


見た目フリースですが、フリースよりも通気性がいいのが特徴かなと勝手に思っています。その上に羽織れば暖かさと通気性を提供してくれる優れもの。だけど強度についてはかなり不安な感じです。だったらもっと薄手のフリース使えばというのもあるのですが、それ以上に薄いフリースは、保温力も無くてカバーできる環境範囲が狭いのです。

ただこんな極端なものは少なくて、通気性の良い表地を貼っている製品が多めなようです。ポーラテックアルファ自体も40g/㎡から140g/㎡ぐらいまで様々な厚みがあり、トレラン用から冬山用まで幅広く出ているようです。

例えば、HOUDINIから出ている軽量でバランスの取れたWisp Jacketとかよさそうだなぁと考えつつ、90g/㎡もあるとやっぱり冬山かなという暖かさ。街着ならこれくらいでも問題なさそうですが、登山すると熱が出ますからね。

Marmot Alpha 60

そんな中見つけたのが、Marmot Alpha 60です。名前の通り、厚みは60gの最薄に属する防寒着です。これがなんと日本定価の約1/3という価格で海外通販サイトで購入できることがわかり、悩んだ末にポチってしまいました。

いつもArc’teryxやらPatagoniaばかりに落ち着いている感じもしますが、体にフィットすることと性能やデザインを考えてそうなってしまっただけで、メーカーありきで選んでいるわけではないはず。。体に合うメーカーとして優先度は高いですが、Arc’teryxは帽子やシューズのサイズや形が合わないです。Marmotはほかにサイズがピッタリだったニット帽も愛用しています。モンベルは胴回りと腕の長さが合わないんですよね。

そしてコロナの影響もあり配達はかなり遅れましたが、とうとう届いたのがこちら。

Marmot Alpha 60
裏地は無く、ふさふさの中綿がむき出しになっています。
表地は、Pertex Quantum AIR 20。通気性が高い、肌触りの良い生地です。
脇の下のわずかな部分だけは、POLARTEC Alpha が入っていません。前面のポケットの裏にはメッシュが裏地になっています。
腕の部分は途中まで、POLARTEC Alphaが入っていて、ひじから先はフリース裏地になっています。この部分はPOLARTEC Alphaは入っていません。

まず感想で思ったのは軽い!公称値260gちょいと言われていますが、実際に測ってみたところSサイズで231g。表地の軽さ、中綿のスカスカ感、裏地がないこともあって、持った瞬間ふわっとした感じがします。ATOM SLと同程度の重さのはずですが、あれは薄いからそんな感じだねという感想でしたが、これはある程度ボリュームがあるのに軽いから、ふわっとしか感触がします。

そして次に思うのは、POLARTEC Alpha独特のボコボコ感。

Alpha Directはスカスカなうえ、中綿が固まっているので、その部分がボコボコしているのが、外からもわかる。表地が薄いのでなおさら。

実際来てみた時も、肌触りは良いですが、ボコボコしている感覚はあります。ただこの隙間はスカスカなので、これが程よい通気性を生み出しているのだと思います。

Pertex Quantum AIRも、口で息を通すとじんわりと空気が通る感じがします。通常のウィンドシェルよりも通気性が高いです。

光に透かすとそのスカスカ感がよくわかります

あとはこれを試す機会が来ればと思っていますが、しばらく登山自粛も続いている状況ですので、次は秋口でしょうか。ATOM SLとの違いも試してみたいところ。また、肌表面にしっかりと暖かい空気膜を作るというより、ふわっとした程よい暖かさを提供してくれそうですので、夏山用の保温着として持ち運ぶのもよさそうです。