登山の防寒着考察 暖かさの要因は2つある

迷う登山の防寒着

登山をしていると、その服装や装備も試行錯誤しながら自分のスタイルに合うものを見つけていくことになります。ただ毎年のごとく新しい製品が出されて評価付けされていたり、ドライレイヤーなど新しい分野が現れたりと中々に動きの激しい分野です。

そんな中人一倍寒がりな私は防寒着に結構悩んでいました。どれもこれも暖かいだのいろいろ書いてありますが、どれを着れば快適かは人によって変わってしまうので鵜呑みにするわけにもいきません。ダウンはいらないとか、ウィンドシェルがいいとか、フリースとか化繊インサレーションのどれかでいいとか。全部持っていけば十分でしょうが、登山装備の軽量化が好きな私(ベースは3~4kg)は使わないものもあまり持っていきたくない。

そんなこんなで、勉強しながらいろいろな防寒着を試しながら、山の防寒着をどう考えればよいかを自分なりにまとめてみました。掲示板でも防寒着についての質問をよく見かけるので、忘備録がてらメモしておきます。

 

暖かさに対する防寒着の考え方

それが上の図。そもそも暖かいという表現で1つにまとめてしまっているのが、混乱のもとだなぁと思っています。確かに最終的に感じるのは暖かいという感覚なのですが、暖かさを保つには暖かい空気を皮膚表面付近に滞留させることが大切なのです。そして外部からその熱を奪わんとする要因を排除する必要があり、それが大きく2つあると思っています。

  • 防風性
    風を防ぐ性能です。基本的に風は冷たく、熱を一気に奪っていきます。たとえじんわり肌の周りが暖かくても風が吹けば一気に消えてしまうでしょう。低山や樹林帯などではあまり風が吹きませんが、森林限界を超えたり、独立峰などではこの対策が重要です。一方で防風性が高いと、相対的に汗の水蒸気や熱気を出すための透湿性も下がってしまうのが一般的です。
  • 保温性
    暖かい空気を動かさずに留めておく性能です。ポイントなのは、ただ空気の層があるだけではなくて、それを動かないように対流しないようにすることが重要です。対流してしまうと熱が中から外に移動しやすくなってしまいます。

環境によってどちらの性能が重要かが変わり、またどのウェアによってどちらの性能が強いか変わってきます。それを組み合わせて、ちょうどよい感じにするが重要です。例えば、樹林帯では防風性が無く、保温性が少しある程度がよく、森林限界以上では防風性が重要になります。また山頂での休憩では、保温性も防風性もそれなりに必要になってくるでしょう。悪天候で雨風が強いときには、もっと性能が必要です。

こうみるとソフトシェルなどは、防風性に保温性を少し加えたようなウェアですし、化繊インサレーションはフリースよりも防風性が高い傾向があります。もちろん製品によって異なってくるものも多いのですが、ウェアの分類としての傾向(矢印の方向)は何となくこんなものかと捉えています。

そして悩ましいのは、オーバースペックでも困るところ。ダウンなどは保温性も高く、防風性も高めなので、これ一枚で済みそうな感じもしますが、実際には無駄に暑すぎてきれなかったり、汗や雨に弱いという決定的な弱点があったりします。今は防風性だけほしい!というときに、ダウンを着ると無駄な保温性に困るわけです。また樹林帯でちょっと肌寒いけど、というときにダウンを着ると、今度はものすごく熱がこもってしまいます。こういう時は防風性がないフリースあたりがちょうど良かったりします。緑の丸で書いているような、今回の登山で想定する環境にうまくはまる組み合わせを見つけて持っていくのが大切ですね。

ちなみにほかの要素として、重量(大事!)、防水性、透湿性(行動用か休憩用かに大きく影響)、耐久性、デザイン、体型などもありますので、悩みだすと奥が深いです。。

 

ベースレイヤ(アンダーウェア)は?

ベースレイヤは、私の場合ドライナミック+キャプリーン(ライトorミッドor3) と 、上に何もなければArcteryxのイラオシャツで固定されてきました。ドライナミックの快適さは秀逸です。キャプリーンも耐久性が高いし、何より防臭性が高い。以前はジオラインだったのですが、ほつれやすく汗のにおいがきつかったです。ただ防臭性は人によるみたいですね。エラオシャツは軽くて涼しいのと、ベースレイヤだけでは体の線が浮き出て恥ずかしいので着ています。メリノウールの評判も高いのでそのうち試そうかと思っています。