富士山登頂。パルスオキシメーターを持ち込んでみた

3度目の富士山登頂

2017年も富士登山に行ってきました。2017年はずっと雨が続いていたので、なかなか日を決められませんでしたが、無事良い天気の中登頂できました。これで3度目の登頂となります。

富士山登山は登りに平均6時間かかるのに加え、ご来光を山頂で見るかどうかで大きく登山スケジュールが変わってきます。特に土日はご来光を山頂で見ようとする渋滞が発生するのは有名な話です。

特に明け方のもっとも寒くなる時間帯に、気温数度の状態でずっと待ち続けるということもよくあり、二度と富士山には登らないと言うのもよく聞く話です。

私も一番最初の富士登山は、右も左もわからずツアーだよりで行ったのですが、標高3200mの山小屋に一番着というかなりハイペースな集団で行くことになってしまい、高山病でノックダウン。登頂はあきらめました。

その時は一晩外をぶらぶらしたり、宿泊していた山小屋でちょっとゆっくりと休めるところをご提供いただいたりして明け方にはすっかり回復しました。今でも通りがかるたびに感謝しています。

そこで思ったのが、富士登山はマイペースが大事。あと高山病対策が必須であることです。

マイペースの富士登山

富士山登山に関する記事はたくさんありますが、その中でもし誰かにお勧めするとしたらやっぱり早朝からの登山です。

山頂でご来光を見たいというのであれば、一般的な山小屋泊か夜間登頂になりますが、前者は大渋滞に巻き込まれますし、意外と高山病になりやすい。後者は個人的におすすめなのですが、最近は弾丸登山といわれて忌諱される傾向があります。

早朝からの場合、大体午前2時ぐらいから登り始め、大体9時前に山頂に到着。そして11時には下り始めて14時には5合目に戻ってくる計算です。多少1,2時間前後しますが深夜0時を過ぎて登り始めるプランです。

これをすると、のんびり行っても暗いうちは岩場の少ないところを歩いて、明るくなり始める午前4時くらいには7合目に到着します。途中の山小屋で日の出とご飯を食べた後、山頂へ。午前8時ごろには渋滞も解消されていますので、悠々と登れます。また、日が高くないのでそんなに暑くなく、水や体力の消耗を抑えられます。

ただこのプランの難しいところは、午前2時あたりまで5合目付近にいるのですが、お店は閉まっていますし何もすることがないこと。吉田口であれば宿泊施設があるので、18時ごろに吉田口到着、夕食を食べて睡眠するのが都合が良さそう。6時間以上も高度順化ができるのでばっちりです。私の場合は終バスできて五合目休憩所あたりで休んでいることが多いです。平日であれば22時ぐらいが終バスです。

なお、五合目休憩所は営業時間の明記はなかったのですが、今のところ24時間開いているようです。少なくとも1時半くらいまでは開いていました。遅めのバスで来た方が高度順化していたり、また夜遅くに降りてきた方が始発のバスを待っていたりするようです。

高山病対策 パルスオキシメーター

最初の登山で高山病になって以降、体質的に弱いものと自覚し、いろいろと対策をとっています。息の吐き方とか、歩き方だとか、水をきちんと飲むとか、睡眠不足にならないとか、よく言われている対策です。

ただ、高山病になりそうならなさそうという感覚が無く、だんだん気持ち悪くなってきた…となってはもう手遅れです。休めばよくなることもありますが、基本は高度を下げるのが一番いい対策。

そんな時に投入した新兵器。それがパルスオキシメーターです。

経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)という血液中に酸素が十分溶け込んでいるかを測るものです。

そもそもなぜ高山病が起きるのか。とてもシンプルに考えると、酸素が足りないからです。呼吸した空気から、酸素を肺で血中に取り込みますが、高度が上がると酸素濃度が薄く、また気圧が弱いために十分酸素を血液の中に取り込めないのです。

富士登山のような短時間での高度順化は薄い酸素をたくさん取り込めるように、脈拍数が増加しますが限界もあります。

またせっかく取り込んだ酸素も激しい運動をするとすぐに消耗してしまいます。ゆっくりと登るようによく言われるのは、急激に酸素を消費しないようにするためです。

つまり取り込む酸素量と消費する酸素量がうまくバランスすれば、高山病は起こりにくいというわけです。

これをもし目で見ることができれば、ペースを上げすぎだとか、呼吸が足りないとかがわかって、休んだりペースを落としたりするなどの対策が取れます。

実際の血中酸素濃度

平地だと90%を下回ると病院行きだと聞いたくらいですが、私の場合富士山では余裕で下回ってきます。最初に持ち込んだ時には五合目で79%ぐらいまで下がってしまい大慌てで深呼吸した覚えがあります。

登山の最中もちょっときつめの岩場を登るとあっという間に80%を下回ります。これを気付かずにずっと低いままであれば、高山病になるのも無理ないかなという弱さでした。

ただ何度も登るうちにゆっくり上るペースと、少し肺に圧をかけて呼吸する方法を学び、登っている最中でも85%くらいを維持できるようになりました。時々立ち止まっては90%以上に回復させます。

今回は特に5合目で6時間以上もいたこともあり、これ以上になりいい値を出していました。3200mの高所にいてもちょっと呼吸に気を付けて運動しなければ97%という値です。山頂でも安静にしていれば90%台を維持できていました。

どのくらいの数字を下回ると不味いかは、人によると思いますが、私の場合とりあえず90%を目安に維持するようにしています。

どのあたりが危険水域なのかはいろいろ調査データがあります。

数値を随時チェックしながらペースを決めていけば、かなり登頂率は上がる、または苦しい思いをすることは減るのではないかと思います。ただ、高山病発症には睡眠不足などの様々な要因も重なるので数字だけ見るのも要注意ですね。

登山服装

参考までに登山の服装です。

ドライレイヤ ドライナミック 3/4 ドライナミックは秀逸。ちょっと汗で濡れているなと感じることもありますが、冷たいと感じることがありません。しかし長時間着ていると網目の跡が肌に残ります。
ベースレイヤ キャプリーン3 現在のキャプリーンではミッドウェイトかサーマルウェイトあたり。夜間登山ということで少し厚めにしました。もし早朝4時とかから登るなら、ミッドウェイトあたりです。それでも日が差すと汗だくになります。
ミドルレイヤ ATOM LT Hoody 行動用防寒着。7合目あたりからは冷たい風が吹き出したので羽織って登っていました。休憩中も着っぱなしで大体大丈夫。気温も10度ぐらいまでしか下がらなかったので少し暑いときもありましたが、のんびりゆっくり上っていたので大体丁度いいくらいでした。風は冷たくて皆さん寒い寒い言う中でも、寒いと感じることはありませんでした。
レインウェア、シェル ストレッチ・レインシャドー・ジャケット 生地が柔らかく、適度に伸びるレインウェア。脇下のベンチレーションを開けることもできます。ウィンドシェルを兼ねていますが今回は出番なし。ATOM LTで十分でした。
ミドルレイヤ EXライトダウンジャケット モンベルの超軽量ダウン。いざという時の防寒着でしたが出番なし。軽量なので気軽に持っていけるのがいいです。
ボトム・インナー キャプリーン・ミッドウェイト 足の保温にキャプリーン・ミッドウェイト。寒いと感じることはありませんでいた。圧縮タイプのタイツもありますが、高山では血の巡りを悪くしてしまうのであまり使いません。
ボトム・アウター コンバーチブル・パンツ 軽量で風通しのいいパンツですが、ちょうどよいくらい。ジップオフでハーフパンツにもできますが、登山を通して特に暑すぎ寒すぎはありませんでした。
シューズ ドラゴンテイル MNT GTX ローカットのシューズ。以前はハイカットでしたが、やはり靴は軽いほうがいい。雨が降った時に水が入らないようにゲイターも持参しました。吉田口下りでは小石が入り込むこともありませんでした。

この中で一番活躍したのは、ドライナミック、次にキャプリーン3です。ATOM LTも快適でしたが、それは下にちゃんとしたベースレイヤがあってのこと。汗冷えしている状態で横から風が吹き込んできたら結構凍えるのではないかと思います。

よく登山では、レインウェアとバックパック、シューズを三種の神器と呼んでいます。さらに快適に登山するには?と聞かれたら、個人的にはベースレイヤでしょう。かっこいいジャケットに比べてぱっとしないので、何千円もかけるのは憚られますが、汗でぐっしょりとしたり、汗冷えしたりしなくなり、快適になります。実はとてもリターンの良い投資です。

あと意外といけたのがATOM LTの圧縮方法。そんなにコンパクトになりませんが、さっとしまえてぱっと取り出せる。なかなか使い勝手が良かったです。