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全ては珈琲のため
登山をしていると暖かい食べ物や飲み物を山頂でいただくのが一つの楽しみになってきます。特に、珈琲を飲むという行為は、なぜか憧れ。ほんと何故でしょうね。特にこれから寒くなる季節ではますます美味しくなります。
この暖かさを持ち運ぶには、山専ボトルなどの高性能な魔法瓶でお湯を暖かいまま持ち運ぶか、現場で湯を沸かすのが一般的です。
私の場合は後者。前者では家から山が遠いのでさすがに長時間暖かいままとはいえ、ぬるくなってしまいます。そのため、ガスストーブを毎回持って行っていたのですが、お湯を沸かすために大きい機材を持ち運ぶのがだんだんと面倒になり、どうにか軽量化できないか試行錯誤してきました。
最初はガスストーブを使っており、プリムスから始まり、中国製の26g超軽量ガスストーブを経て、最終的に風防不要で信頼とお手軽さのウィンドマスターSOTO SOD-310に落ち着きました。
ここまでくると300gまで軽量化されるのですが、ベースウェイト3kgを目指しているとこれももっと軽量化したくなるもの。
とうとう行き着く先ともいわれるアルコールストーブに手を出してしまいました。
アルコールストーブは固形燃料と並んで軽量化の終着点といわれるほどの軽さを持ちます。ただ反面、火力が弱く、風に弱く、火力調整も途中で止めることも難しいという欠点だらけ。必要な熱量を計算すると、場合によってはガスストーブの方が結果軽くなることも十分あり得えます。
それでも軽さやロマンにあこがれて踏み込む世界なのです。
アルコールストーブの美 Frevo R
アルコールストーブは各社からいろいろなものが出されており、自作されている方も多いのですが、今回選んだのはアルコールストーブの中でも、軽さ、かっこよさ、火力を備えた日本製のアルコールストーブ FrevoR。フリーライトという会社から発売されています。
なんと本体だけなら7g!という驚異の軽さ。付属の五徳がプラス10g!こちらも軽い。
何やら中国のメーカーTOAKSが中途半端な状態で製品を独自に出して揉めているとか何とかで、似たような製品も出ています。ただこちらは性能が悪い上に、重い(36g?)、値段も高い!ので特に選ぶ理由も無いです。
それの唯一いいのはamazonで買えるところ。フリーライトの通販は振り込み式なので、ちょっと面倒だなぁ。受注注文したり、手作りしたりしているのもあるので、仕方ないとは思いますがちょっと購入には不便でした。
そして先日届いたのがこちら↓
火が吹き出す穴が開いています。重さも軽くて薄くて、ぐっと握るとメキメキッと音を立てて変形してしまいそう。取扱注意です。
火をつけたのが横から見てもトルネード。
上から見るときれいに渦を巻いています。時々ぼっぼっと突沸のような音を立てて炎が噴き出し、全体が揺らぐのはご愛嬌?火がついていることが音でわかるのでそれもいいかもしれません。
火をつけると数秒で本燃焼になるのもいいところでした。アルコールストーブによっては数十秒待たなくてはいけません。
実は、同じフリーライトでブラストバーナーという高火力製品もあります。アルコールランプ的なレトロな外形なのに、轟音を立てるかっこいいバーナー。
Frevo Rと迷ったのですが、本燃焼に入るのに40秒ちかく待つことと、スペックを見るとあまり沸騰まで時間が変わらないようなので、軽さを重視してFrevoRを選んでみました。
軽くて簡単 自作風防
アルコールストーブは自宅で試している分には簡単にお湯が沸くのですが、外で使うにはもう一つ準備するものがあります。
それが風防。
ガスストーブと違って炎が弱く、風ですぐ揺らいでしまうため、風防が無いと熱がコッヘルなどに伝わりません。
ただここまで軽量化してきたので重い風防はNG。また26gのガスストーブを使ったときに思ったのですが、ぺらっぺらの風防はこれまた扱いが面倒。
そこでこんな風防を作ってみました。
付属の五徳の周りに、薄いチタンを張り付けたものです。チタンはもともと風防として売られていた0.03mmぐらいものを、必要なサイズにはさみでカットしました。
上下にわずかに隙間を開けています。上下の隙間は1cmも無い感じ。5mmくらい?風に強いウィンドマスターの間隔が1cmも無いことからとりあえずこれくらいにしてみました。
取り付けはチタンを細かく短冊状に切って、網目に差し込むような感じにしています。全部で10か所くらいで固定。
正面の隙間はもともと開いていたのでそのままに。風下に向けておけば大丈夫でしょう。
火をつけるとこんな感じです。
トルネードを巻いているのかわからなくなっていますが、じっくり見ると中で渦を巻いています。
風防の中が炎で充満して、横から結構な勢いで炎が漏れ出ています。チタンも真っ赤に赤熱。
水も直に沸きました。気持ち火力が強いような気がします。風防の中の温度が上がり、アルコールが揮発しやすくなって火力が上がっているのかな?取り外すのが面倒なので比較は気が向いたらしようかと思います。
本当はカップの底よりも少し高い位置まで風防を置くほうが、風を防げて良さそうなのです。ただそうすると、本体、五徳、風防の三段構えになってしまい、面倒さが増えるのと風防が重くなってしまいます。
今回の五徳兼風防だとなんとたったの12g!本体と合わせても19gという軽さです。
その他のアイテム
本体と五徳、風防のほかには、
- チタンマグカップ 450ml(スノーピーク) 68g 実計測
定番のチタンマグ。コーヒーを飲むには少し大きいが、カップ麺のリフィルがギリギリ押し込めば入るサイズ。中途半端ながらもいろいろと汎用性が高い - シングル チタンマグ フタ 450ml用 (EPIガス) 14g 実計測
蓋が無いので別途用意。ピッタリです。 - 付属カーボンフェルト 5g 実計測
調べてみると熱に強くアルコールストーブの芯としても使われているようです。取っ手を持ったり、アルコールストーブの下に敷くものとして便利。特に気のテーブルの上だと熱が気になりますし。チタンマグの中にこれを入れて、その中に五徳を入れるとピッタリ収まりクッション代わりにもなります。 - パウチ容器 100mL (リンデン) 11g
Frevo Rの残念なところの一つは、内径が小さいのでナルゲン60mlなどのアルコール燃料ボトルがうまく入らないこと。450mlのチタンマグに収まるよう、ソフトボトルの容器を使ってみることにしました。 - フリント式ライター(BIC) 11g
火をつけるときにかなり近づけないといけないので、やけどに注意です。安心と信頼のフリント式ライター。
これを全部足すと128g。燃料は余裕を見て60mlくらい持っていくことを考えると、50g。合計178gのチタンマグに収まるクッカーセットができました。
後は実際に山で試してみようと思います。
(追記) 北横岳 2017.10上旬
三連休と紅葉で大渋滞の北八ヶ岳へ行ってきました。
早速アルコールストーブを試したところ、風も穏やかで温かい気温だったのもあり、問題なく湯を沸かすことができました。
アルコールの量はほとんど目分量。炎は全く見えませんが、ボッという点火音と継続的な突沸音?のおかげで火がついていることがわかります。
炎が見えないので風に流されていないか、ちゃんと加熱されているかはよく判断がつきませんが、20ml弱で300mlの水を余裕で沸騰させることができなのでまぁまぁ問題ない範囲かと思います。
(追記) 塔ノ岳 2017.11下旬
風も冷たくなる晩秋の塔ノ岳で試してみました。塔ノ岳はテーブルや座れる木の椅子がたくさんあるのでそこの上で、木を傷めないようカーボンフェルトを敷いて使います。カーボンフェルトは熱に強くちょっと場所を動かそうとするときに土台ごと引っ張って動かせるのでお勧め。鍋つかみにもなります。
風は強いとまではないもの、羽織らないと手先がかじかんで一気に冷えてしまう風もたまに吹く程度。火をつけるときだけは、風が当たらないようにザックで風を止めながら作業を行います。
縁に多めのアルコールを垂らすとあっさりと火が付き、一度火がついてしまえば多少風が吹いても安定して燃えてくれます。時折、ボボボボと風が吹き込んで炎が荒れる感じ。
15ml弱で200mlぐらいの水が沸いたようです。コーヒーにちょうどいい感じでした。
(追記) 大岳山 2018.1上旬
まだ雪も降らぬ奥多摩の大岳山で試してみました。頂上はそれなりに広くて富士山を眺めながら食事をとっている方も多いところです。適当なところに腰かけて地面にストーブを置いて試してみます。水平をとるのは適当でも大丈夫。
当日は風がほとんどなく、いつもと同じように縁に多めのアルコールを垂らすとあっさりと火が付きます。ただ見た目では火が付いたかどうかがわからないで太陽の影で揺らぐ空気の流れを見て火が付いたかどうか判断します。もしくは軽く手をかざして暖かいかどうか。ちなみに縁に垂らしたアルコールはすぐに揮発するので要注意。
15ml弱で200mlぐらいの水がぎりぎり沸く乾かないかというぐらいでした。寒いからかいつもより沸く量が少なめでした。
最近はだんだんと慣れてきて、さっとアルコールに火をつけてチタンマグカップを火にかけ、大体火が消えたころにさっと使う流れができてきました。沸かすチタンマグカップ以外にカップラーメンやカップスープなどに発泡容器があると、再利用してインスタント系のものが食べられます。その間にまたお湯を沸かして最後にマグカップで珈琲を飲んでお終い。ガスストーブよりひと手間増えますがなかなかにお気に入りなアイテムになってきた気がします。
火をつけるコツ
Frevo Rにアルコールを入れて引火させる際、アルコール量を少なめにしているとなかなか火がつかないことがあります。
結構真ん中あたりまで火を近づけないといけませんし、フリント式ライターでやっていると引火した瞬間にぼっと手に炎がかかるのでちょっとびっくり。
そんな時は、Frevo Rの外周にある溝みたいなところに数滴アルコールを垂らして置き、そこに直接火をつけると簡単に引火します。
最初は溝に入ったアルコールがぼんやりと燃えているだけですが、その熱で気化するのかすぐにボッと中のアルコールにも火が付きます。ご参考に。
トルネードタイプのアルコールストーブ
このトルネードタイプのアルコールストーブを、他にもいくつか発見しましたのでご紹介。
- RSR Stove 2nd model
アルミ合金の削り出しで作られたかっこいいアルコールストーブ。重量33g 直径55mm 高さ37mmで、Frevo Rとほとんど同じですが少し平たくなった感じ。
重くなった分丈夫な感じがしますね。火力調整用のアクセサリもあります。あと中々いいのは60mlサイズのナルゲンボトルがすっぽり入りそうなこと。Frevo R向けに結構調べたのですが、60mlサイズのボトルは大体外径が39mmくらいが基本サイズ。Frevo Rは内径が36mm程度しかないので入らないんです。これ以上小さいのは30mlになってしまうし、これだけは改善してもらえると嬉しい。
お値段はFrevo Rを上回る8,640円!
- アルコールストーブ FAS-30T
こちらはチタン削り出しを使ったアルコールストーブ。内筒がチタン、外側はアルミのハイブリット仕様です。重量:13g、高さ:30mm、直径:53mmでさらに小さくなりました。なかなかに軽い重量と、縦方向ならば人が乗っても壊れない丈夫さを誇ります。
これもナルゲンボトル60mlが入る大きさしていそうだなぁ。ただ、アルコールの推奨最大容量が25mlなのでそんなにアルコールを入れることはできません。Frevo Rは40mlまで推奨なので、長く火を使い方は要注意。
お値段は\9,800円!